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2017.01.24
安倍、トランプの背景は同じ
トランプ政権と日本


  ---なぜ、何が、私たちは何を〈下〉
                    新社会党副書記長石河 康国



 ファシズムとの異同 

 トランプやEUの排外主義的勢力とファシズムとの異同は何か。
 戦前の日・独・伊のファシズムとは、経済危機による中間層の没落が背景である点は同質だ。しかし、ソ連が輝いていたために、以前のファシズムは「国家社会主義」の仮面で登場し、ソ連の計画経済前進への対抗上も「統制経済」を採った。また一党支配の全体主義だった。
 現実の社会主義が崩壊した今日では、資本の衝動への国家の規制を排する新自由主義が採られる。「社会主義」の仮面も不要。戦後民主主義は後戻りさせられないので、一党支配ではなく既成政党とかけひきをして揺さぶる。しかし、旧い支配政党を排撃して、民主主義理念を真正面から否定するところは、ファシズムと共通である。 


 日本は「安定」しているか


 さて、主要国ではファッショ的勢力が政治を攪乱しているが、安倍政権は「安定」している。奇矯な勢力が政権をおびやかしているわけではない。しかし本紙前号で見たように、トランプも安倍も新自由主義的な反動であって、出自は同じなのである。 戦前日本のファッショ化も独・伊とは異なっていた。民主主義と労働運動も弱体で支配体制が盤石だったから、ファッショ勢力は独自の政治運動の形態はとらず支配的権力が統合して「上から」ファシズムが完成した。
 社会党・総評が崩壊して四半世紀、民主主義の遅れという地金が再び現れた。反動への強力な対抗政党があらわれない。絶対得票率3割弱に支えられる安倍政権が失速しても、最大多数派である5割の棄権層=政治不信層が「変革」を求めて橋下=小池的なものを押し出す。一方、維新は安倍与党化し、小池は自民党籍は捨てない。この補完関係は「日本的」である。
 20世紀末の小選挙区制は「二大政党による政権交代」で、不安定な自民党支配を補完する建前だった。しかし今日、小選挙区制は安倍自民党とこれら補完勢力による新自由主義的独裁に転化した。


 世界では対抗勢力も成長


 私は、日本こそが大変だと思う。
 欧米には対抗勢力が若者中心に育っている。1月20日のトランプ大統領就任式にはワシントンで100万人規模の抗議デモ。21日はワシントン女性行進に20万人が見込まれる。反貧困運動、マイノリティー運動、有色人種地位向上協会、環境保護団体などが、トランプの政策に対抗する準備に入り多額の資金カンパが寄せられているという。
 サンダースと民主党の左派が議会で闘い、トランプの思い通りにはいかないだろう。イギリス労働党では左派のJ・コービン党首が再選された。スペインのポデモス、ギリシャのティプラスなど新自由主義に対抗する政党は、EU離脱運動とはことなった欧州の民衆連帯の道を探っている。昨年秋のオーストリア大統領選では緑の党が極右に勝った。
 若者が立ち上がった韓国で南北緊張緩和路線の大統領が当選すれば、トランプの挑発に水を差し、日本の憲法闘争にはこの上ない援軍となるだろう。
 問われているのは日本の私たちだ。困窮と不安に苦しむ数千万人の立場に立つ対抗戦略をかかげ、その実現をめざす力をもった政治勢力の一刻も早い形成が共同で求められている。今こそ捨て身でその実現にあたるか否かが、民主主義を貫く党派か否かの歴史の審判の分かれ道になるだろう。
 トランプ以降の世界の政治と経済は、われわれの平和と生存を脅かす事態を危惧させる。惨禍を体験してからやっと反省する愚はもう繰り返せない。


 サンダース「民主党をより大衆的に」(ローリングストーン日本版より)

 米TV番組『ザ・レイト・ショー』のインタビューで、バーニー・サンダースがアメリカ合衆国と民主党の未来について昨年11月に語った。サンダースは民衆党をより大衆に根ざしたものにするための政策にキャスターのコルベアとの対談で言及した。 サンダースは、トランプ政権への対抗を勢いづけるために民主党を一新したいと言う。「何かが根本的におかしい。僕が今しようとしていることは、民主党を大衆に根ざしたそれにするために再構築すること」「民主党は、これまでのようにリベラル派のエリートの管轄下にあってはならない」と、サンダースは続ける。「彼らは敵ではないが、民主党は大衆に開かれているものに変容する必要がある?労働者、低所得者や若者の痛みを感じることのできる政党でなくてはならない」。
 サンダースはアメリカの将来に希望を持っている。上院議員は、民主党の予備選挙の最中に見た光景に元気づけられているようだ。「美しい人たちに出会った、それもたくさんの……黒人、白人、ラテン系・アジア系アメリカ人、アメリカインディアン、本当に美しい人たちがアメリカという国を、それが成り得るものにしたいと思っている」。「偏見を一掃するためだけではない。経済を1パーセントの人のみに有利なものではなく、皆にとって良いものに創り上げるために、だ」と。

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